建前だけの振袖に感じた寂しさ

私が成人式を迎える時、高卒で既に仕事についていました。

双子の妹とともに、アニメ製作の仕事です。

この仕事は、労働条件が悪く、お給料が安く、労働時間が長かったので、とても大変でした。

締め切りがあるために、いきなり、徹夜、泊まり込みになったりするのです。

そんな忙しい日々を送っていたので、成人式を気にしている時間はありませんでした。

ふと、成人式近くになって、母が私と妹に聞いてきました。

「成人式の日の日本髪を結ってもらう美容室はどこにする?」

と。

はぁ?

仕事が忙しくて、成人式に出られるかどうかわかりませんし、服も用意していません。

それを言うと、母は、

「もう、振り袖をおばあちゃんに縫ってもらっているのよ。」

と言うではありませんか。

祖母は確かに、着物を縫う事ができます。

成人式にあたって、振り袖を頼まないわけにはいかないでしょう。

しかし、生地位は、自分で選ばせてほしかった。

「え、忙しいから任せる、って言ったでしょ。」

母はそう言いますが、言っていません。

母は、何でも、自分の思う通りに動いて、それを忘れてしまう癖があるのです。

数日後に出来上がった晴れ着は、やはり、地味な柄で、全く好みではありません。

何故、こんな着物を着て、わざわざ出かけなくてはいけないのか。

そう思わざるを得ません。

そして、成人式の前日になりました。

やはり、仕事が忙しく、その日も徹夜になりました。

明けて、成人式の日の朝に家に帰ったものの、直ぐにでも眠りたいのに。

晴れ着をきて、出かけろ、と母は執拗に迫ってきます。

妹は、とうとうキレて、部屋に鍵をかけて寝てしまいました。

勝手に予約された美容室など、キャンセルです。

しかし、縫ってもらった手前、祖母には、見せに行って欲しい、と母が泣きそうになって訴えてきます。

こんな時に貧乏くじを引くのは、大抵私です。

仕方なく、ふらふらになっている身で、美容室へ行き、振り袖を母に着付けしてもらいます。

ちっとも嬉しくありません。

祖母の家を訪問し、適当に話した後、すぐに家に帰って、寝てしまいました。

他の人は、皆、綺麗な振り袖やドレスを着て、成人式に出ているのだろうな。

そう思うと、寂しさを感じます。

今、中年になって、行き遅れている事に、母から文句を言われますが、冗談ではありません。

親に愛された子供なら、結婚も早いのだろうが、愛された、と思えない娘が結婚できるものだろうか。

まあ、仕方ありません。

母本人は、きちんとやっているつもりなのですから。

子は親を選べないので、諦めるしかないのです。

恨んでも仕方ないし。

そうやって、今の自分がいるのだな、と時々思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>